【マンホールで知る町自慢】No.026栃木県足利市

足利市のマンホールは足利学校の門がデザインされています。
足利学校は中世、現在の栃木県足利市にあった関東の最高学府。
大学というのは、現在ある大学とは異なり、日本初の生涯教育の施設ともいえるもの。
教育の中心は儒学で、あわせて兵法や医学なども教えていました。

足利学校の学校門

足利学校の学校門

日本最古の学校が足利市に

下野国足利庄(現・栃木県足利市)に開設された足利学校(あしかががっこう)は、日本最古の学校です。
創建の時期は明らかにはなっていませんが、古くは奈良時代、下って平安時代の初期もしくは、鎌倉時代とも伝えられるほどの歴史を有しています。
室町時代中期の1439年(永享11年)、関東管領・上杉憲実(うえすぎのりざね)が、鎌倉円覚寺から僧・快元(かいげん)を庠主(しょうしゅ=校長)として招き、足利学校を再興したいう記録が残っています。

時は足利義教(あしかがよしのり)が室町幕府の第6代将軍に就任した頃。石清水八幡宮で籤(くじ)が引かれて将軍が決まったので、籤引き将軍ともいわれています。義教は、勘合貿易を再開するなど経済の活性や、幕府の権威復興に尽力しています。

そんな、義教は第4代鎌倉公方(かまくらくぼう=関東十ヶ国における出先機関として設置した鎌倉府の長官)の足利持氏(あしかがもちうじ)と対立。
将軍・足利義教と関東管領・上杉憲実は、手を結び、足利持氏を追討します。
1439年(永享11年)、関東で勢力を維持した足利持氏は自害します。
1439年(永享11年)は、足利幕府の権威が関東まで回復した年で、足利学校の再興も当然、幕府の後押しがあったと考えられるのです。

足利学校は、乱世といわれる室町時代から戦国時代でも、学問の灯を絶やすことなく灯し続け、「学徒三千」といわれるほどに隆盛します。
関東における事実上の最高学府でもあり、1549年(天文18年)、イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルは「日本国中最も大にして最も有名なる坂東の大学」と海外に伝えています。

江戸時代には、足利近郊の人々が学ぶ学問所(郷学所)として存続しますが、朱子学の官学化によって易学中心の足利学校の学問は時代遅れとなっていきます。
乱世にはもてはやされた易学ですが、平和な時代には実践的な易学、兵学は疎まれ、足利学校も衰微します。
追い打ちをかけるように1754年(宝暦4年)、落雷により方丈、庫裡を焼失。明治5年、ついに廃校になってしまいます。
そんな足利学校ですが、平成2年に方丈や庭園を復元。平成27年に史跡足利学校跡を含む「近世日本の教育遺産群ー学ぶ心・礼節の本源ー」として日本遺産に指定されています。
マンホールに描かれる門は、1668年(寛文8年)に創建され、現在、足利学校の象徴的な門となっている学校門です。扁額「學校」の文字は明人・蒋龍渓(しょうりゅうけい)が1555年(弘治元年)来日した時の書を、当時の国史館の狛庸(こまやすし)が縮模したものです。

日本100名城の国宝・鑁阿寺は必見!

足利尊氏像

足利学校近くに立つ「征夷大将軍足利尊氏公像」

足利氏と足利幕府の関係を知るためにも、足利を訪れたら鑁阿寺(ばんなじ)参詣は欠かせません。
実は、この鑁阿寺こそ、国の史跡「足利氏宅跡(鑁阿寺)」なのですから。
1127年(大治2年)に生まれた源義康(みなもとのよしやす)が下野国足利庄を相続し、足利を名乗ったのが足利氏の始まり。
寺のある場所は、この地を拠点に、後世に足利幕府を開いた足利尊氏などにつながる足利氏の居館。

寺としては1196年(建久7年)に第2代当主の足利義兼(戒名・鑁阿)が邸宅内に持仏堂を建てたのが始まり。
足利義兼の死後、第3代の足利義氏が堂塔伽藍を建立し足利一門の氏寺としました。
鎌倉時代から室町時代に寺院として整備され、京の足利将軍家にも手厚く庇護されました。
大日如来を本尊とする真言宗の古刹で、足利市民には「大日様」として親しまれています。
1299年(正安元年)建立の本堂は国宝。鐘楼、一切経堂が国の重要文化財に指定されています。
あまり知られていませんが、この「足利氏宅跡(鑁阿寺)」、日本城郭協会選定の、「日本100名城」にも選定されています。
四方に門を設け、土塁と堀をめぐらせた中世の城館の面影を色濃く残しています。


(YouTube再生の際には音楽が流れます)

足利学校が描かれたマンホール

足利市街中心部の通2丁目交差点の歩道に設置されたデザインマンホール

ABOUTこの記事をかいた人

たけだゆきえ

(一社)プレスマンユニオン事務局長。 全国を取材するかたわら、デザインマンホールに注目しています。なぜなら、そこには郷土の自慢が凝縮されているから。何気ない足下のマンホールが、実は地域活性にとって重要な役割を担っていることから、ウエブマガジン「マンホールStyle」を運営中です!